2023年11月21日公開 更新:2023年11月26日

マルタ・アルゲリッチと50年

50 Years with MARTHA ARGERICH

マルタ・アルゲリッチの知られざるエピソード  by Y. KOSEKI

 

46. 豪華な楽屋

東京の秋は、さながら国際音楽祭のように、数多くの著名な音楽家達の演奏会が目白押した。一時期、ベルリン・フィルのコンサートにウイーンフィルのメンバーが、ウイーン・フィルのコンサートにベルリン・フィルのメンバーが聴きに行っていた、なんてこともあったし、会場を見渡せば、ああ、あそこにあんな人が、なんてことも珍しくない。また、ホテルのロビーで、お互いに「あれ?来日してたの?」なんて豪華な2ショットを見かける場合もある。そして、そのまま音楽事務所を交えて次の共演の話になったり。

アルゲリッチの場合、もちろん沢山音楽家達が訪れてくるけれど、2016年5月16日のリハーサル(ベートーヴェン・ピアノ協奏曲第2番、高関 健/紀尾井シンフォニエッタ)後は、ちょっと特別だった。リハを聴きに、小澤征爾と娘の征良、孫、チック・コリア、そして小曽根 真が来ていて、リハが終わった後、アルゲリッチを囲って話が始まった。

アルゲリッチとチック・コリアは親交があり、「彼はいい人よ」と言っていた。すると、アルゲリッチは「チック、何か弾いてよ、なにか」とリクエスト。どこかのおばちゃんが、「あんた歌手?何か歌ってよ」というのとは、ちょっと次元が違う。すると、ジャズ風のスカルラッティのソナタを弾き始めて拍手喝采。続いてオリジナルの即興演奏。小曽根さんに「ちょっと来いよ」と合図。そして夢のデュオ。小澤さんは本能的に踊るように手が動く。動画でお見せできないのが残念!

 
 
 

アルゲリッチの録音、来日記録:Martha Argerich Recordings

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