2023年10月1日公開 更新:2023年10月4日

マルタ・アルゲリッチと50年

50 Years with MARTHA ARGERICH

マルタ・アルゲリッチの知られざるエピソード  by Y. KOSEKI

 

40. ルガーノ音楽祭-9

6月30日(火)

夜中にホテルに戻って荷造り。仮眠して空港に向かった。チューリヒに1泊して帰路。チューリヒの観光は、博物館等を除けば半日で十分(といっても、バイヤー時計博物館は行った。おすすめ)。夜は、チューリヒ歌劇場で、ベッリーニの歌劇 「カプレーティ家とモンテッキ家」。回転舞台をうまく利用し、空間も時間も表現した演出が光り、テバルドを歌ったテノールのBenjamin Bernheim が抉出。 アメリカ人は吐きそうな位のきついヴィブラート、トレモロのようなヴィブラートに鈍感、平気なのだが(MET合唱団のSopは本当に酷い)、その意味で、受け付けない歌手が幾人か。指揮はFabio Luisi で、イタリアものは生き生きとしていい。2012年にMETでルパージュ演出の指環を観た時、判を押したようにイタリア的で、これには困ったけれど(それでも、ブリン・ターフェルのヴォータンのブリュンヒルデとの惜別は、涙、涙で生涯の宝)。

  終わってワイン・バーへ向かっていたら、木星と金星の大接近が偶然見れた。上が木星で、下が金星。

光度差があるので、望遠鏡で見る二重星のようで、とても綺麗。日本では入梅なので、見れた人は少なかったようで、ラッキーだった。

帰国してしばらくしたら、スイスから封書が届いた。スイス警察からで、イタリア語で何枚も書類が送られてきた。真面目に読んでみたら、深夜、信号を0.6秒守っていなかった、罰金を払わないと、次にスイスに入国した時には犯罪者として扱うぞ、とあった。音楽家の方々をレンタカーでホテルに送り届けていた時のものだった。罰金何と3万数千円! 大いに凹んだ。

また、数年前から少しずつ積み上げてきた大切なプロジェクトがあったのだが、ある人のお陰で、音楽祭に行く前に全て粉々に壊されてしまった。大いに心に傷を負ってしまったのだが、もう一つのプロジェクトは無事、届けることができた。これが日の目を見るかどうかは神のみぞ知るところであるが、ルガーノで、随分癒された。人生、挫折もするけれど、生きていればいい事も巡ってくる。Martha と酒井 茜さんに何から何までお世話になり、心より感謝「本当にありがとうございました!」

ガンドリアで見かけた表札

アルゲリッチの録音、来日記録:Martha Argerich Recordings

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