2023年10月1日公開 更新:2023年10月4日

マルタ・アルゲリッチと50年

50 Years with MARTHA ARGERICH

マルタ・アルゲリッチの知られざるエピソード  by Y. KOSEKI

 

39. ルガーノ音楽祭-8

6月29日(月)

今日は、諸事情で午前にオケ合わせ。朝は眠くてダメ、といつものセリフ。でも、展開されるのは、これ以上無い心の世界。

「一旦、帰って寝るわ。」との事で、私もホテルに戻り、隣のレストランで昼食。早くも最終日になってしまった....

さて、本番の最初は、Babayanによるプロコフィエフのピアノ協奏曲 第2番。

通して聴いてみれば、馬力と超絶技巧だけでないプロコの世界があり、今、音楽祭での台風の目玉とも言える彼を印象付ける演奏となった。続いては、Renaud Capuçon によるブルッフのヴァイオリン協奏曲第1番。

あの甘美な曲をルノーのヴァイオリンで聴きたい、と誰しもが思う夢が実現した。音響は最悪な、この会議場( 座席数1140。来年は音楽ホールが完成し、そちらを使うらしい)の隅々まで、この極上の音が染み渡る。なんと幸せな時、空間を共有できたであろうか。言葉は要らない。

さて、後半は、プーランクの2台のピアノのための協奏曲から。



プーランクの音楽は、胸がきゅんとなるけれど、彼女が演奏すると 、もっともっときゅんとなる。一つだけ残念だったのは、リハでもっさりしていたオケのリズム感が、本番でもそのままだった事。打楽器奏者にいいセンスの人がいればオケが牽引されて、もっと良くなったかもしれない。

本日、そして音楽祭の最後は、Khatia Buniatishvili による、リストのピアノ協奏曲第2番。リストの曲は、テクニックに余裕がないと弾けないだけでなく、下手をすると、ただ弾きまくっているだけで音楽がスカスカになってしまう危険があるが、これは見事。しかも、体のラインを強調した衣装に加え、その動きも表情に富む。

ビジュアルとしては、水着のようなボディコンで弾きまくるユジャ・ワンが有名だが、こちらもなかなか。しかも、テクニックも音楽も伴っているのが、どこかの国の事情とは、大きく異なる。最も、ビジュアルと音楽、双方超一級で唯一、元祖はMartha だけれど。
この1週間、どれも素晴らしい演奏の目白押しで、何度も 同じ事を言うけれど、本当に、本当にこの音楽祭に来て、来れて良かった!

市内のレストランで楽しい打ち上げの後、Martha の滞在している家にちょっとだけ寄らせていただいた。写真左は、閉店したレストランのテラス。話をしていると時が止まるので、お店の電気が消えても、延々と話は続く。
 

アルゲリッチの録音、来日記録:Martha Argerich Recordings

#Argerich  #アルゲリッチ  #Lugano Festival  #ルガーノ音楽祭

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