2022年1月15日公開 更新:2024年2月17日

マルタ・アルゲリッチと50年

50 Years with MARTHA ARGERICH

マルタ・アルゲリッチの知られざるエピソード  by Y. KOSEKI

 

1. はじめに

2015年2月、東京

1972年、14歳の時、突然アルゲリッチが女神として降臨してきた。私は彼女を通して、ショパンをシューマンをラヴェルをプロコフィエフを知り、ピアノ音楽の世界を広げていった。思春期の少年にはあまりにも影響力が強く、眩し過ぎる彼女の存在。永遠のマドンナ。 

当時、彼女は「これから期待される若手演奏家」等と雑誌では紹介されていたが記事もあまりなく、レコードも数枚しか出ていなかった。まして、現代のように何でもインターネットで調べられる訳でもない。しかし、情報の欠乏は、よけいに想いを熱くする。同じ記事を飽きるほど幾度も読み返し、同じレコードを毎日真剣に幾度も聴き、私は行間から真実を探り、音楽の「耳」は育てられた。数は少なかったが、一つ一つの物が大切な宝物であった。時間は緩やかだったので、全てがゆっくりと消化することができた。 今のように情報や物があふれているのが良いとは限らないように思う。

以来50年、私の人生は彼女を中心に回っている。公式録音は彼女が8歳の時からのもの全てを所有する至り、コンサートがあれば、許せる限り全国へ出かけて行く。 

初めは 一ファンだったが、そのうち友人となり貴重な体験を重ねることとなった。いくつかのエピソードを本にまとめようかと思ったが、数も限られるし、少しでも多くの方々の目に触れる形として、ブログ形式で ここに掲載することとなった。 

袖触れ合うも、他生の縁。多少ではなく、他生、多生。螺旋状に複雑に曲がったお互いの人生が、不思議な縁で触れ、繋がり、そしてお互いの人生に関わってくる。素敵な彼女の人生に少しだけ触れ、垣間見ようと思う。

*このsiteで使用している写真は、全て Y. KOSEKI が撮影したものです。
 

Y. KOSEKI: 1957年生まれ。1972年よりアルゲリッチのファン。すべての公式録音の他、相当数のプライヴェート録音を有する。また、1976年以来、ほとんどの来日公演を聴いている。内外の音楽家、著名人達とも交流があり、 舞台写真、ポートレートも撮影。
 

アルゲリッチの録音、来日記録:Martha Argerich Recordings

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